小林公夫の「愛(め)でたいモノたち」

作家で法学者である、ハカセ小林公夫が好きな服や、小物、本、好きなお店、料理など様々な好きなモノについて語るページです。

26年前にドイツで購入した鞄(小林公夫)

写真は、およそ26年前にドイツのライプチヒに研究で滞在した際にライプチヒ駅前の商店で購入した鞄です。

店主によれば、日常、医師が使用する鞄のようです。本がたくさん入り、牛革で非常に丈夫そうなので購入しました。
金額は2500€(ユーロ)です。当時は、1€が約118円でしたので、高額です。

そこで、店主に、
「Bitte senken Sie den Preis dieser Tasche ein wenig」と頼みましたが、

答えは「Nein、der Preis  fur diese Tasche sinkt nicht」でした。

つまり、値段はまけられないということでした。

私はしばらくショーウインドウを見つめて考え込みました。しかし、この牛革の色と質感に魅かれどうしても欲しくなり、カードで購入してしまいました。

 

あれから26年が経過しましたが、まだこの鞄は健在です。ただし、その間に5回修理に出しています。金属部分を3回、牛革の部分を2回修理しています。金属は同じ形の金属が無いため、町工場のおじさんに特別に金属を作製してもらいました。そのようなわけで、なんと修理代だけですでに購入金額を遙かに超えてしまいました。ただ日本に未入荷の鞄であり、またこれまで見たこともない構造の鞄なので、直し続けるほかありません。

先日も、栃木に滞在中に宇都宮市のリペアショップという良心的な店で、金属部分を修正してもらい小さな革のベルトを真ん中に追加でつけてもらいました。これまでに電車内で3人の方から、この鞄はどちらで購入されましたか、と聞かれました。普通このようなことは他人に聞いてこないですよね。開閉部分の金属が特殊で、尋ねたくなるぐらい珍しい鞄のようです。

小林公夫 鞄

 小林公夫